すごろくや

インドでボードゲーム探してみた

執筆:横塚玲奈

紅茶を求めてインドへ(ついでにボードゲームも)

皆さまこんにちは。すごろくやスタッフのヨコヅカです。
コロナ禍で自由に旅行が出来なくなった昨今。
旅番組や旅行本などを眺めて遠い地に思いを馳せる機会が、最近増えて参りました。
そして以前の旅行を思い出してもう一度楽しみたいと思い、2019年の初夏に私がインド旅行に行った時のことをここに記そうと思います。

何故インドなのか?
無類のお茶好きでティーインストラクターの資格を持っている私が行きたい国、それが紅茶生産量世界第1位のインドだったからです。他にもスリランカや台湾など美味しいお茶の国は沢山あって、そこにもいつか行きたいのですが、定期的に開催されるティーインストラクターの研修旅行の2019年の目的地がインドだったために、私の初の海外旅行はインドとなったのでした。

あくまで旅の主目的は「インドで美味しい紅茶の飲み比べ+茶園&製茶工場見学」

でもせっかくなら海外のボードゲーム事情も見てみたい!
そんな気軽な気持ちで「お土産にインドのボードゲームを買う」を心のToDoリストに加えて旅立ったのでした。

インドのボードゲーム事情ってどうなの?

海外のボードゲームといえば、なんと言ってもドイツが有名です。
他にもすごろくやでは20カ国にのぼる様々な国のボードゲームを取り扱っています。(2021年8月現在)
そんなすごろくやでもインドのボードゲームの取り扱いは現在ありません。
前に読んだ本でインドが発祥の地とされるボードゲームがあったような気がしますが、どの本に書いてあったのか、そしてどんなゲームだったのか旅行前までにしっかり思い出せず。 とにかく現地で調査してみることに。

旅行中に仲良くなった現地のガイドさんに「子供の頃どんなゲームで遊んだ?」「周りの人が今よく遊んでいるゲームって何?」とボードゲーム関係の話題をいくつか聞いてみたところ、「僕は子供時代は外で遊んでいたし、周りはゲームといえばギャンブル、そもそも私たちお茶作りに関わる〇〇人は茶園を経営する〇〇人と違って……」と気がつけば民族間問題の地雷を踏んでしまっていました。
思ったよりセンシティブ。

囲碁将棋オジさんのインド版探し

日本で散歩をしている時に、公園などでオジさん達が集まって囲碁や将棋を打っている姿を見かけたことってありませんか? 私はよくあります。
私の好きな「世界街歩き」という旅行番組でも、路上や公園で集まって何かのゲームを楽しんでいる人達の姿がたまに紹介されるので、旅行中にそういう光景を実際に見られたら嬉しいなぁ、と淡い期待を抱いて自由時間に街や公園や寺院を散策してみました。

街や寺院の前の通りでは、人が集まっているところといえばチャイの屋台でした。 チャイとはインドの甘いミルクティーをさすのが主流ですが、普通の紅茶もチャイと呼ばれています。お茶巡りの旅なので旅行中30杯くらい屋台のチャイを飲み比べましたが、どの屋台も美味しかったです。これは地元っ子も集まるのも納得。

そして早朝5時にホテルのそばにある記念公園へ行った時は、朝日を浴びながらヨガをしている人たちがいて「うわぁ、インドに来ているのだなぁ」と感動したりもしたのですが、なにかゲームっぽいことをしている人たちとは巡り会えませんでした。残念。

コルカタの大型モールでボードゲーム探し

旅行の目的はインドの茶園巡り。
そのため空港のある大都市コルカタに滞在するのは初日と移動日である2日目の午前中、そして最終日だけ。

そのため大型モールや有名な市場でお土産が買えるチャンスは旅の序盤しかありませんので初日からお土産ミッションのクライマックス。
宝石店やサリー、スパイス、紅茶、インド料理のお店などが並ぶ大型モールの中、おもちゃ屋さんを発見できました。

店内をぐるっと見回すと、キャラクターものの商品からなんともいえない海外感が匂い立つものの、日本とあまり代わり映えのしない店内にちょっとだけ不安になります。焦らず探してみると奥の方にボードゲームのコーナーもちゃんとありました。 小学生未満向けの知育系ゲームと、あとはスコットランドヤードにディクシットなど日本でもお馴染みのボードゲームですね。
なにか、なにかインドっぽいゲームはないでしょうか。日本では売っていないここならでは!みたいのが欲しいのですが、それらしいものは見つかりませんでした。

ここで手に入らなければ、次は茶園のあるダージリンで探さなければなりません。
しかしダージリンの街の規模はコルカタに比べればはるかに小さく、旅の序盤にして暗雲が立ち込めたような気持ちに。

ダージリンの鉄道模型屋さんでお宝発見!

ダージリンというのはインドの北東部にある、標高1000〜2500mくらいの山岳地帯にある都市の名前です。
お茶好きにとっては紅茶の聖地のイメージしかなかったのですが、実はエベレストやカンチェンジェンガという世界第3位の山の眺めを楽しめるタイガーヒルに登ったり、その小ささからトイ・トレインと呼ばれる世界最古の山岳鉄道を楽しむ人、と紅茶ファンだけでなく登山ファン、鉄道ファンにとっても楽しい土地だったようで国内外からの観光客が沢山いらっしゃいました。

とはいえ、ダージリン駅周辺の街は3日もあればある程度散策しつくせてしまうくらいの規模。
お土産屋さんはいっぱいあるけれども、その大半は民族衣装などの衣類系と、宝石と、お茶屋さん。コルカタでも見つけられなかったのにボードゲームなんてあるのかしら?
と心配しながら歩いてみると、鉄道模型がメインのおもちゃ屋さんを発見。
鉄道模型の他にも何か置いていそうな雰囲気です。これは、もしかして、もしかすると、もしかするかも! あったーーーーーー!
しかも、すごくインドっぽい! 面白いかどうかは分からないけれど!
箱の裏側の英語の説明文を読んで見た感じ、テレビゲームの桃鉄みたいなゲームのようです。
ウキウキとお会計をしてホテルに帰ります。

そしてネットの通じるところで調べてみると、アメリカを舞台にした同名ゲームのインド版というか焼き直しというか……

いやでもしかし、インドの各都市の豆知識とかも知れるので、多分、一番私の希望に近いゲームだったと思います。
ちなみにルールもカードも英語なので、遊べるように和訳作業をちょっとずつ進めている内にお友達をお家にお招きするのもためらわれる状況になってしまったので、2021年の今もまだ遊べていません(泣)
ルールを見ている分には楽しそうです!

ホテルのゲームコーナーで伝統ゲームを遊ぶ

さて、私が参加しているこのインドで紅茶巡りのツアー。
既に何度か開催されているのですが、毎回インドの水や食事にお腹をやられてせっかく来たのにほとんどお茶を飲めずに帰国する羽目になる参加者が毎回出るそうで、その度に泊まるホテルをグレードアップしていった、という歴史があります。

そして私が参加した回ではとうとうダージリンで3本の指に入る高級ホテルに泊まるところまで来ていました。(その甲斐あってツアー初の体調不良者ゼロの旅になったそうです) 見てください、このホテルの外観を! どこもかしこも本当に素敵(語彙力)
あちこちホテル内を見物していると、なんということでしょう! ゲームコーナーがあります! オシャレなホテルはゲームコーナーもオシャレですね!(語彙力)
中にあるのはスネーク&ラダー、ルド(どちらもシンプルなすごろく系ゲーム)、チェス、○×ゲーム、そして、何かよくわからない台!
午前中や昼間は利用者がいなかったのですが、日が暮れた頃に覗いて見ると遊んでいらっしゃる方がいます! 遊んでいるのは4組で、チェスを遊んでいる親子とルドを遊んでいる登山服っぽい服装の男女4人組と○×ゲームをやっている男性2人組(こちらはなんとなく鉄道好きそうな感じ)、そして駒らしきものがなんにも置いてなくて何か分からなかった謎の台で50代と20代くらいの親子の4人組家族が遊んでいます。
こっそり様子を見に行くと……
あ! これボードゲーム漫画の「放課後さいころ倶楽部」で見たことある! 名前、なんだったかしら?
と、記憶を呼び戻そうとしていると、20代の方の姉妹らしき女性と目が合いました。
「気になるなら一緒にやってみる?」
インドの言葉ではなく英語で話しかけられたので、頑張って参加してみることに。

「これ、なんていうゲームですか?」
「カロムよ」
(あ、そうだ! たしか漫画ではスーパーカロムって呼ばれてたゲームだ!)
「インドでは有名なゲーム?」
「えぇ、多分そうね。私はよく遊ぶわ」

たしかこのゲームは、おはじきみたいに駒をはじきながらビリヤードのように所定の位置へ動かして除外していくゲーム。
4人で遊ぶときは向かい合った人とチームになるところまでは漫画を読んだ時の記憶からなんとか思い出せました。

でも、どの場所の駒でもはじけるわけではなくて、それぞれ自分でははじけないスペースがあるというルールを忘れていて、英語で説明されたもののよく分からず、頭に?マークを飛ばしながら遊んだ結果、私のチームは惨敗してしまったのでした。

「もう一度やろう! 今度はもっとうまくできるよ!」と誘われたのですが、肝心なルールを理解できていない感覚があったので参加は1回だけで後はちょっと離れたところで見学させてもらいました。
とても楽しそうに遊んでいて、なんとなく日本の温泉旅館で卓球台を見つけて遊んでいる様子と似ているなぁと思いました。

そして帰国してから漫画を読み返して、カロムの細かいルールと、このゲームの発祥がインドであるという説があること思い出し、またいつか旅行に行けるようになったらリベンジしたいと心のToDoリストに新たな項目を加えたのでした。

この記事を書いた人:ヨコヅカ

2018年入社。配送業務担当スタッフ。最後の晩餐で遊びたいゲームは「アグリコラ」。「不妊治療がうまくいかず落ち込んでいた時に、ワーカーを2人のまま増やさずに1位を目指すことに固執していた時期がありました」と言うほどやり込み済み。最近は硬筆を始めた。