すごろくや

すごろくやスタッフインタビュー
店舗運営 髙木 昭彦(たかぎ あきひこ)

すごろくやが展開する高円寺、神保町の2店舗で、接客の最前線に立つ髙木。
すごろくや流接客への想いや、印象的だったできごとについて話を聞きました。

語り手
髙木 昭彦(たかぎ あきひこ)
2009年すごろくや入社。
すごろくや店舗の「顔」として、12年間店頭に立ち続ける。
趣味はスポーツ観戦、音楽鑑賞、お酒を飲むこと、植物を育てること、旅行。
西武ライオンズ、リバプールFC、ビール、ワインをこよなく愛する。
休日は音楽を聞きながら、育てている桜やモミの木を眺め、お酒を飲むことが幸せ。

僕はすごろくやの入社面接の前にお店に下見に行き、髙木さんからガイスターを薦められて購入した思い出があります。
改めて、お名前とかんたんなプロフィールをお願いします。

髙木昭彦(たかぎ あきひこ)です。
43歳で、東京都杉並区出身です。

なんと!
すごろくや発祥の地、杉並区ご出身なんですね。

そうなんですよ。
西荻窪出身なので、すごろくや高円寺店からも近いですね。

歩いてご実家に帰れそうですね。
さて、すごろくやの店員さん、といえば髙木さんの顔が浮かぶ方も多いんじゃないでしょうか。
改めて現在の業務内容を教えてください。

店舗業務の統括をしつつ、日々の店頭接客もこなしています。
日によって高円寺にいることもあれば、神保町にいることもあります。

すごろくや店舗の「顔」とも言える高木さんですが、ベタに好きなゲームを聞いていいですか?

「クアルト」ですね(即答)。

キャストジャパンさんから発売されている2人用ゲームの超名作ですね。
クアルトとの出会いは?

入社して2番目に買ったゲームですね。

ちなみに1番目に買ったゲームとは…?

1番目は「ドメモ」ですね。

ドメモ、クアルトの順…何となく高木さんが好きな傾向がわかる気がします。
クアルトはよく遊びますか?

たまに遊びますが、僕は強いですからね。

なるほど…?!なんだかどこかの自転車部の主将が脳裏をよぎりましたが…
たしかに高木さんにクアルトで勝ったスタッフを見たことがないですね。

すごろくやのスタッフには負けたことがないですね。
腕自慢のメーカーの方とも対戦しましたが、勝ちました。

腕に覚えのある猛者から挑戦状が来ちゃうかもしれませんね…
クアルトは別格として、他に最近よく遊ぶゲームはありますか?

最近だともっぱら「宝石の煌めき」ですね。妻とよく遊んでいます。
最近は妻もかなり強くなってきたので、気を抜くと負けちゃうかな…。
お酒を飲んだ時は「そっとおやすみ」がいい感じです。

宝石の煌めきは、店頭でも未だによく売れますよね。
「そっとおやすみ」はやはりお酒を入れると盛り上がりますか?

酔っ払って注意力が散漫になった状態でやると、超盛り上がりますね。
何なら誰も気づかず話し込んでたり…

そういえば、高木さんは無類のビール好きでしたね。
前のお仕事も確か飲食関係でしたっけ?

そうですね、友だちと一緒に飲食店をやっていました。
いわゆるカフェですね。

思い切った転身だと思いますが、どういった理由ですごろくやを選んだのでしょうか?

漠然と接客業をやりたい、と思って半年ぐらいあちこちを見て回ってたんですね。
その中で、偶然求人広告を見かけたのがきっかけです。
確か「an」だったかなぁ…

今はもう無い「an」の求人募集がきっかけだったと。

そう、それでせっかくなので店を下見に行ったら、なんと休みだったんですよ。
で、昔の高円寺店ってセンサーがついてて、近寄ると音が鳴るようになってて。
音に気づいた事務所から人が出てきて「見てって下さい」って言われました。

捕まってしまったと(笑)

そう(笑)
で、断るにも断れず中をちょっと見て。
それで「実はさっき求人広告で応募したんです」みたいな話をしてその日は帰りました。

お店をはじめて見た印象ってどうでしたか?

「なんだか変わったモノがたくさん売ってるなぁ」という印象です。
ボードゲームのことは全く知らなかったので、ワクワクはしましたね。
未知のもの、新しいものに触れられそうだなぁと。

たしかにボードゲームって、1個1個が全部違いますからね。
タイトルの数だけ新しい出会いがあるというか。
ところで、面接はどんな内容でしたか?

いきなり「ボードゲームの英文説明書を読んでもらって、遊んでみよう」と言われました(笑)
ドイツHABA社の小箱ゲームだったかなぁ。 留学経験がある、という話はしていたのですが、面食らいましたね。

頑張ってその場で読んだんですか?

その頃は電子辞書を持ち歩いてたので、それも頼りに頑張りました。
「これこれこんなゲームですね」と説明したら、「そう、普通に訳すとそうなんだけど、実は違うんですよ」って。

ボードゲーム翻訳あるあるですね(笑)
単純に直訳してしまうと意味的には正しいけれども、ゲーム的には間違っちゃうという。

今はかなり理解が進みましたが、当時は「そう言われても」っていう気持ちにはなりました(笑)
とにかく緊張してたなぁ。

面接はそれで終わったんですか?

そう、その日はそれで帰りましたね。
後日、採用の連絡が来てほっとしました。

実際、面接中に英文をその場で訳すのはかなり緊張しますよね。
入社してからはまずどんなお仕事をされたんですか?

最初の仕事が、ドイツのエッセン※に行く航空券をHISに取りに行くっていう(笑)
(※毎年ボードゲームの見本市「エッセンシュピール」が開かれることで有名なドイツの大都市)

のっけからボードゲーム業界っぽいお仕事ですね!
では、入社早々代表と2人でドイツに長旅を?

そうですね、入社1ヶ月で「ドイツ行くよ」っていう。

めちゃくちゃ羨ましい仕事にも思えますが(笑)

面白そうだとは思いましたね。
で、行った先で結構濃いメンバーに会いまして。
テンデイズゲームズ(※)のタナカマさんとか。
(※三鷹市にあるボードゲーム制作や販売を手掛ける企業)

今となっては日本からもかなり多くの人が行かれているイメージですが、
12年前ぐらいだとまだそういう空気感ではないですよね。

そうですね。だからこそ、こんな濃い人たちが盛り上がっている世界ってすごいなって。

今とはまた違う熱気がありそうですね。

とにかく濃い世界でしたね。
いちばん大変だったのは、会場内で買ったゲームを運ぶためのスーツケースと緩衝材を日本から持ってったことですね。

日本から持ってったんですか?それは大変だ…

6-7キロあったかなぁ…
しかも、初日に荷物をロストされたんですよ!

それはついてない…

航空会社から「これでなんとかしろ」っていうちっさいポーチをもらったんですよ。
でも到底足りないんですよね。
靴下替えたかったなぁ…

航空会社的に、靴下は替えない前提なんですかね…

まぁ初日から荷物をロストしたってことは、これ以上悪いこともないだろうと(笑)

切り替えが早い!
そんな波乱万丈のエッセン行きは別にしても、12年働いた中で印象的な出来事はありますか?

やはり初めて行った「ゲームマーケット」(※)ですね。
10年以上前なので、今ほどの規模ではなかったですが、「濃さ」に驚きました。
(※株式会社アークライトが主催するボードゲームの即売イベント)

エッセンとはまた違った熱気がありそうですね。

ボードゲームが本当に大好きな人たちがこんなにたくさんいるんだな、という実感というか。
とはいえ今、これほどの規模にまで成長したことにも驚いています。
当時は会場に行けば「見知った顔」がかなり多かったですからね。

そこから今日のような大規模イベントになったというのは、本当にすごいことですよね。
出展者としては準備も年々大変になっていますが、嬉しい悲鳴ということで(笑)

さて、少し質問の方向を変えますが、「すごろくやの接客」の特徴とはどんな点にあると思いますか?

「ルールを説明する」のではなく、「楽しいポイントをいかに伝えるか」という点ですかね。
もちろんルールを知りたいんだ、という方もいらっしゃるとは思うのですが、
ルールを正確に説明しさえすれば魅力がわかる、ということでもないのかな、と。

ルールの説明と楽しさの説明は、似て異なるもの、ということでしょうか。

長年の接客経験からそう感じるようになりました。
お客さんとしても「そのゲームのどこが楽しいのか」を聞きたいのではないか、と思っています。

そうですね。そして、それをいかに端的に伝えられるか、という。

もちろん楽しさを伝えるのは非常に難しいのですが、それがこの接客の魅力でもあると思っています。
絶対の正解があるわけではないですし。

魅力の言語化、は確かに難しいですが、かなりやりがいのあることですよね。

そうですね。そして、楽しいポイントの捉え方に「個性」がでるのも面白いと思っています。
「ルール」それ自体は共通でも、そのどこに魅力を感じるかは人によって違うので、まさに個性ですよね。

確かに!同じゲームを遊んでも、楽しいと感じるポイントが人によって結構違うことは多いですね。
そしてその魅力をどう伝えるか、の方策もそれぞれ独自に磨いて、
ときに確かめ合うのがすごろくや流接客なのかもしれません。
高木さんが、魅力を伝える上で特に気をつけていることはありますか?

お客さん自身に、説明を楽しんでもらえるようにしたい、という点でしょうか。
実際に遊べるわけではないけれども、僕の話を聞いて、お客さんの頭の中で「ああ、こうなるんだ」
という結末も含めた「ストーリーとして楽しいかどうか」を意識しています。

お客さんが説明を聞いて頭の中で具体的なイメージを持てる、というのが理想ですね。
複雑なゲームほど、イメージを持つための前提条件が多くて説明が大変そうですが。

複雑なゲームでも「自分が何者か」が明確なゲームだと比較的説明がしやすいですね。
例えば自分が海賊で、どこかの島に宝探しに行って、他の海賊と戦って…みたいなね。
自分が何者で何をしようとしている、という設定が無いゲームは結構難しいです。

理解の取っ掛かりとして、「ゲームを遊ぶ人は何者なのか」は結構大事なのかもしれませんね。

そうですね。なので、説明が難しいゲームほど売れたときは嬉しいですね。

僕も日々研鑽をしたいと思います。
ところで、接客をしていていちばんやりがいを実感する瞬間はいつですか?

情勢的に今は接客を控え目にしていますが、普段は店内が混雑しているときに、
たくさんのお客さんに声を掛けてきちんと話ができたときですね。
また、1人で接客をするわけではないので、チームで情報共有しながら的確に接客をできると非常に嬉しいです。

刻々と変化する店内の状況や、お客さんの反応を見つつ、テキパキ接客をするのはかなり大変そうです。
ある意味スポーツに近い部分もありそうですね。

そうですね、スポーツとかボードゲームにも共通するような面白さはあります。
ゲームを購入していただくことがゴールだとしたら、そこに向けてどうアプローチするかという。

目の前にお客さんがいらっしゃるので、自分の説明でご満足頂けているか、そうでないかもハッキリわかりますしね。

そうですね、ときに辛いこともありますが、やはり接客の醍醐味はそこにあると思います。

「ゲームの魅力を伝える説明」と「実際に遊ぶときの説明」の最大の違いはどのへんにありますか?

魅力を伝える説明では、情報をコンパクトにまとめつつ、実際のルールとの整合よりも、
聞いていて話の順序がわかりやすいかどうか、を意識しています。

実際に遊ぶときには、内容物を見せてイメージを膨らませてもらいつつ、あまり一気に説明しないようにしています。
段階的にいくつかの手順を試してもらいながら「あ、そういうことか」という納得感を重視しています。
やりながらわかってもらう、という。

遊ぶときには内容物を使えるのは大きいですよね。
やはり、店頭で言葉だけで説明する、というのが一番難しそうです。

はい、だから「楽しい」が伝わるお店を作りたいと思っています。
例えば「風」って見えないけど、暖簾が揺れていると「あ、風だな」って見えるじゃないですか。
なので、この暖簾のように「楽しい」が見えるような仕掛けのあるお店を目指したいですね。

暖簾のたとえはとても納得しました。
ボードゲームの魅力という見えないものをいかに伝えていくか。
これは難しい、けれども非常にやりがいのある課題ですね。

最後に、高木さんにとっての「すごろくや」はどんな場所でしょうか?

僕にとっては「アイデアを楽しめる場所」です。
ゲームも、一つ一つシステムも違えばコンセプトも違いますよね。
それに加えて、働いているスタッフも色々新しいアイデアを出してくれるわけで。
本当に色々なアイデアに出会える場所だと感じます。

確かに、小さな会社の割に、毎日飛び交うアイデアはめちゃくちゃ多いですよね(笑)

はい、後はそういったアイデアや個性がもっともっと活かせるような接客や、
それを可能とするような環境整備を進めていくことが課題だと思っています。
それで、お客さんがもっともっと楽しめる「すごろくや」にしていきたいです。

最後に、すごろくやで働いてみようかなという方にメッセージをお願いします。

「好きなこと」を仕事にするのは、大変なことも多いです。
でも、僕はすごろくやで働いていて「大変なこと」より「楽しいこと」の方が少し多いと思っていて、
その「楽しいこと」を少しずつでも集めていくと、大きな喜びになるので、それが「やりがい」かなと考えています。

ありがとうございました!