ボードゲームのキャラクターをカプセルトイ風につくってみた
執筆:中村有以
						はじめまして。2019年末にすごろくやに入社した中村と申します。
						昨今のボードゲーム事情をほぼ知らない状態でこの会社に紛れ込み、
						現在は主に、海外の作品をローカライズする仕事に携わっています。
						
						入社からそろそろ2年が経とうとしていますが、
						ゲームの機構やビジュアルといった「つくり手が盛り込んだ魅力」にうっとりしたり、
						それを遊ぶ人たちが繰り出す見事な戦略や冴えた回答に心奪われたり、
						相変わらず新鮮な驚きでいっぱいの毎日を過ごしています。
						
						昔むかしにラベンスバーガー社のゲームをいくつか遊んだ記憶があるためか、
						なんとなく「ボードゲームといえばドイツ」というイメージをもっていたのですが、
						入社後、他の国でもたくさんの独創的なゲームが生まれていると知りました。
						
						なかでも心をギュッと掴まれたのが、
						フランスの、しかも比較的新しいゲーム出版社が出しているゲームの数々です。
						
						たとえば、ゲーム絵本「だいぼうけんに でかけよう」シリーズを出しているGame Flowは2015年設立ですし、『モンスターカフェ』のLumberjacks [Studio]は2016年末設立。すごろくやで『ダニー』『戦え!スーパーキャッツ』『ニダヴェリア』をローカライズしているGRRRE GAMESは、2018年につくられた会社です。
						2010年代後半に生まれたゲーム出版社が、フレッシュかつユニークで魅力的なゲームを、たくさん出しているのです。
						
						どの出版社のゲームも遊んで楽しいのはもちろんですが、
						共通点のひとつとして挙げられるのが、細部までこだわり抜かれた素敵なデザイン。
						出てくるキャラクターもことごとく魅力的なので、
						キャラクターグッズがあったらいいのになぁ、などとぼんやり思っていました。
					
						ある朝の出勤時、すごろくやがある高円寺駅の改札を出て、コンビニ前にずらりと並ぶカプセルトイを見てひらめきました。
						
						ボードゲームのキャラクターがカプセルトイになったら、きっとかわいい。絶対かわいい。
						あのフランスのゲームのフィギュアがカプセルから出てくるところが、見てみたい。
						存在しないなら、自分でつくればいい!
						
						……というわけで。
						前置きが長くなりましたが、フランス生まれの素敵なボードゲームのキャラクターたちのミニフィギュアを粘土をこねてつくってみましたので、恥ずかしながらお見せします。
					
『戦え!スーパーキャッツ』
						最初につくったのは、
						2019年日本発売、GRRRE GAMESの『戦え!スーパーキャッツ』のネコたちです。
						
						『戦え!スーパーキャッツ』は、
						指の本数を使ったじゃんけんのような勝負で
						自分のネコたちを超ネコ戦隊〈スーパーキャッツ〉に変身させ、
						宿敵ロボドッグを倒そう!というゲーム。
						
						この指じゃんけんは、出した指の本数が多いほど強いのですが、他の人と同じ数を出してしまったらその時点で勝負から脱落。
						読み合いが楽しく、わいわい盛り上がること間違いなしのゲームです。
						
						こちらがネコカードです。
						指じゃんけんで勝利して、ふつうのネコをくるりと裏返せば……
						5匹1組のネコ戦隊に変身!
					
						 
							
このネコ戦隊を、樹脂粘土でつくってみました。
						 
							
						 
							
						カプセルをそばに置くと、ちょっぴりそれっぽく見えてきた気がします。
						調子にのって、さらに他のゲームのキャラクターもつくってみました。
					
『モンスターカフェ』
						次に挑戦したのは、日本では2020年に発売した
						Lumberjacks [Studio]の『モンスターカフェ』のモンスターたちです。
					
						 
							
						それぞれに特殊能力をもつモンスターたちを
						手元から〈カフェ〉へと送り込み、
						最終的に自分の手元に残ったモンスターたちの組み合わせによって高得点獲得を目指す、
						駆け引きがたまらなく楽しいゲームです。やみつき度もとっても高いです。
						
						モンスターは全12種類。毎回この中から5種類を選んで遊ぶのですが、
						どの子を選ぶかによってゲーム展開がかなり変わります。
						
						カフェのメニューをイメージした付属冊子もお洒落。
						そしてなにより、きちんとキャラづけされた個性的なモンスターたちが素敵なのです。
						
						その中から、レックス、シュノーケル、うきしずみクロップスをつくってみました(みんな、ちゃんと公式に名前がついているんです!)。
					
						 
							
						お洒落さを表現しきれず口惜しいですが、
						お気に入りのモンスターを立体にできたのは嬉しい!
					
『ドラゴンをさがしに』
						次は、Game Flowのゲーム絵本シリーズ〈だいぼうけんに でかけよう〉の第1作目、『『ドラゴンをさがしに』』に登場するキャラクターたちです。
						
						〈だいぼうけんに でかけよう〉は、現在日本では『ドラゴンをさがしに』『フォボスのほしめぐり』『アトランティスのはっけん』『たいようのだいち』の4作、本国フランスでは6作目まで刊行されている人気ゲーム絵本シリーズです。
						
						分岐する物語を自分で道を選びながら読み進め、
						アイテムを獲得したり、頼もしい仲間と出会ったり、ときには危険な目に遭ったり。
						自分の選択によって物語の展開や結末が決まります。
						
						どの作品も舞台が異なり、それぞれに魅力的なのですが、
						今回は『ドラゴンをさがしに』のキャラクターをつくってみました。
					
						 
							
						喧嘩っぱやいけれど勇敢なリナ、
						すばしっこいどろぼうネコのサシャ、
						賢い魔法使いのチモン。
						どの子も、キャラが立っています。
					
						 
							
						このシリーズは、どの作品にも魅力的なキャラクター、アイテム、乗り物などがたくさん登場するので、あれもこれもつくりたくなってしまいました。
						『フォボスのほしめぐり』に出てくる、ルナじんの機械整備士グローブや、健気なともだちロボットのビーボ。
						『アトランティスのはっけん』の、パワフルな潜水艦や、美しい海の生き物たち。
						『たいようのだいち』の主人公の三兄弟はもちろん、頼もしい精霊たちも!
						
						作品ごとにイラストのテイストも違って、何かをつくりたい意欲を掻き立てられます。
					
おまけ:『赤い糸大作戦』
							フランスの会社のゲームのキャラクターをつくるのが目標だったのにもかかわらず、キャラクターがかわいいといえばこちらも!と、我慢できずにつくってしまいました。
							2020年にすごろくやから発売した『赤い糸大作戦』です。
						
							 
						
							封筒に入った「普通の手紙」と「ラブレター」をポストに送り合い、自分と両想いだと感じた相手に勇気を出して告白し、告白成功を目指すという、これまでにない、ユニークな駆け引きゲームです。
							
							ポストや封筒もこだわり抜いてつくった品ですし、多田玲子さんのイラストが、かわいいのなんのって!
							今回は、パッケージにも登場するイヌのドットくんとネコのルルちゃんをつくってみました。ドットくん、ちょっとおにぎりみたいになっちゃったけれど……。
						
							 
								
説明書には、くまのマーくんやうさぎのミミちゃんなど、フィギュアをつくりたい気持ちを刺激するキャラクターたちがさらにたくさん登場します。
						 
							 
					
						こうしてあれこれつくってみて改めて思ったのは、
						ボードゲームの世界には、勝手にグッズ化したくなるほど魅力あふれるキャラクターが
						無限に存在するということです。
						
						今回、そもそもは「すごろくやがローカライズしている、フランスの新しめの会社のゲーム」に的を絞ってつくり始めたのにもかかわらず、素敵なキャラクターがいすぎて選ぶのが大変でした。
						
						楽しいゲームには、もれなくゲームの仕組みや遊びごこちにぴったり合った世界観が用意されていて、見るたびに嬉しくなるようなキャラクターがたくさん登場します。
						
						遊びたいゲームも、創作意欲を刺激するキャラクターが登場するゲームもすでに山ほどあり、しかもこれからもたくさん生まれてくると思うと、人生のおともにボードゲームがあるって幸せ!とつくづく思います。
					
この記事を書いた人:中村
2019年入社。翻訳担当スタッフ。自称、ガムとグミの消費量がすごろくやイチ。人生で衝撃を受けたゲームは「ラミィキューブ」で、連鎖してどんどん手元のタイルを出せたときの気持ちよさがたまらないとのこと。「他の人が美しい出し方をしたときも自分でできたときと同じように気持ちいいので、ずっと楽しい。子どもの頃、弟にドクターマリオでボコボコにされても楽しかった、セピア色の思い出が甦ります」
