重ゲーマー?違うよ、可愛いレアゲーが好きなおじさんだよ
執筆:宜保文弥
まずは自己紹介
						みなさんこんにちは、すごろくやの「ボードゲームだいすきおじさん」ことギボだよ。
						ボードゲームを趣味にして13年、ボードゲームに対する熱はまだまだ一向に冷めることなく、今も休みの日は仲間とボードゲームに明け暮れる毎日だよ。
						
						あとインコとかエビ、カメレオンやヘビ、そこらへんで捕まえたカマキリなどなど、色んな生き物を自宅で飼ってるから、ちょっと変わったもの含めて生き物大好きな人はお店で見かけたらぜひ声をかけてみてね。夢は第2のムツゴロウ王国の建国。
					
そもそも「重ゲーマー」ってなに?
						ボードゲームを遊ぶ人の間では、1回の遊ぶ時間が長いゲームを「重いゲーム」、略して「重ゲー」と呼ぶのが一般に広まっているよ。
						ただ、ひとくちに時間が長いといっても、人によって「30分もかかるゲームは体力的にちょっと...」と感じる人もいれば、「3時間かかっても全然苦じゃないから長く感じないよ!」なんて人もいて、どこからが重ゲーなのかの線引きはなかなか決められないんだ。
						そんなふわっとした定義である「重ゲー」を好き好んで遊ぶ人たちは「重ゲーマー」なんて言われたりするね。
						
						ちなみにそういったゲームをたくさん遊んでいると、「このゲーム3時間かかるけど熱中して全然長く感じなかったから、これは重ゲーじゃない」とか言い出すようになって「重ゲーマーなのに重ゲーやってない」とかいうワケのわからない状態になることもあるので注意が必要。
						一般的には1時間以上かかるゲームは重ゲーといって差し支えないと思うよ。
					
わぁい重ゲー!重ゲーだいすき!
						そんなギボは、重ゲー大好き。『ガイアプロジェクト』や『ブラス』も何十回と遊びましたし(興味があったら調べてみてね、どちらもすごく面白いよ)、10時間かけて遊ぶ超濃密交渉ゲーム『ディプロマシー』も超がつくほどお気に入り。
						すごろくやでも仕事終わりにみんなを誘って重ゲーの素晴らしさを普及してたもんで(最近はコロナもあってなかなか集まれないけど)、いつの間にか社内でも「重ゲー大好きおじさん」として認知されてしまったんだ。
						
						確かに重ゲーは大好きだよ。
						遊びにいくときに大きな箱をリュックに詰め込んで汗だくになったり、パッケージ表紙で笑顔のおじさんがこっち向いてるだけでそのゲームがもう面白そうに感じたり、ルール説明だけで1時間かかったり、そんなゲームが大好き。
						でも、実は僕にはそれと同じくらい、いや、もっと好きなボードゲームの楽しみ方があるんだ。
					
もうひとつの楽しみ方
						ギボが密かな趣味にしていること、それは、すでに廃盤(=以前製造・販売されてたけど、今ではそこから外れたもの)になった、今ではなかなか手に入りづらい、でも見た目やギミックが超可愛らしくて老若男女の心にグッとくるボードゲーム集め。
						自宅のボードゲーム棚にも、新作・旧作の定番ゲームがずらりと並ぶなか、その一角にそれらとは毛色が違うポップなカラーのゲームが並ぶ。
						それらのゲームは1回のプレイ時間も10分前後で短く、重ゲーとは正反対のなんとも可愛らしいパッケージのものばかり。
						なぜこんな一見正反対な方向性のゲームも好きになったのか?
						
						そのきっかけとなったのは、まだギボがボードゲームを始めたばかりの頃に、ボードゲームのことならなんでも知ってるし、なんでも持ってる仙人みたいなおじさんが地元にいて、その人とボードゲームを遊ぶときに新作に混じって紹介されたのがはじまり。
						その頃話題だった新作ゲームを一通り遊んだあと、明らかに見た目が子どもっぽい、パッケージもすり傷が目立つ古臭いゲームを仙人が取り出したんだ。
					
第一印象は「子ども向けでつまらなそう」
						正直いうと、そのパッケージをみたときまずそう思ったよ。
						「いやいや、こんな子ども向けのゲームじゃ満足できねーよ!『アルハンブラ』とか『エルグランデ』みたいに、もっと見た目が渋くて歯ごたえのあるやつやりてぇーんだ!」とか思ってたんだ。
						
						でも仙人がせっかく持ってきたゲームだし、1ゲーム10分くらいならサクッと遊んでやるかーくらいの軽い気持ちで卓についたんだ。仙人がにこにこしながらパッケージを開けると...衝撃が走った。
					
ワクワクの宝の船やぁ〜!
						箱から出てきたのは、船の形をした厚紙。そこに3箇所の穴と、色の割り振られたサイコロ、木製の巨大なねじ、そして缶詰を模した木製コマがたくさん。
							 
							 なななんだこれ!カードは!?四角いボードは!!?そういったものは一切なく、これがどうなるのか一切分からない部材が出てきた。
						なななんだこれ!カードは!?四角いボードは!!?そういったものは一切なく、これがどうなるのか一切分からない部材が出てきた。
						当時、ボードゲームを始めたてながらも結構遊び尽くしちゃったのでは?なんて思ってた僕は、これまでのどのゲームにも当てはまらない内容物にもうワクワクが止まらなくなっていたよ。
						
						これらを
							 組み立てるとこんな感じ。
						組み立てるとこんな感じ。
							 なんかねじの刺さった船?ができた。
						なんかねじの刺さった船?ができた。
						代わりばんこに船の中央に缶詰コマを配置し、サイコロで指定された該当の色のねじを一周分締める。
						
						ぐるぐるぐる...。
							 そう、これ、なんと船に3箇所あるねじを回すと、最初は平行だった船がどんどん前へ後ろへ右へ左へ傾いていき、いつかは中央に積まれた缶詰がドッシャーっと倒れるというギミックになっていたのだ!!
						そう、これ、なんと船に3箇所あるねじを回すと、最初は平行だった船がどんどん前へ後ろへ右へ左へ傾いていき、いつかは中央に積まれた缶詰がドッシャーっと倒れるというギミックになっていたのだ!!
						
						な、な、なぁにこれぇーーーーーーーーー!!!??
						
						こんなギミック思いつきもしなかった!
						荒れる船の上で荷物を積む水兵というテーマと実際のゲームのプレイ感もマッチしてるし、目に見えてどんどん傾いていく船のハラハラドキドキ、高く積まれたコマが派手に崩れたときは大人でも思わず子どものように盛り上がってしまう没入感。
							 さっきまでのゲームとは異なり、みんなでもうゲラゲラ笑いながら遊んだ遊んだ。
						さっきまでのゲームとは異なり、みんなでもうゲラゲラ笑いながら遊んだ遊んだ。
						子ども向けで面白く無さそうなんて思っちゃってホントすいません。
						こんな素敵なゲームがこの世にあったなんて!やっぱりボードゲームは最高やぁ〜!
					
お次は飴ちゃん工場の作業員!?
						ボードゲームの奥深さを知った我々を横目に、次に仙人が取り出してきたのは、同じく可愛らしい見た目だが、さっきのゲームとは打って変わってめちゃくちゃ大きなパッケージ。
						タイトルはドイツ語なので全然読めないが、箱正面の一部がビニールで透明になってて中身がちょっとだけ覗いてる。
						なんかツマミみたいなのとゴムベルトがいくつか見えるけど...なんだこれ?
							 
							 大きな木製のボードが箱から出されると、その下側に足をはめ込む...
						大きな木製のボードが箱から出されると、その下側に足をはめ込む...
							 すると斜めに反り立つ大きな壁ができたではないか!
						すると斜めに反り立つ大きな壁ができたではないか!
							 うお〜〜〜〜〜〜〜〜なんだこれ!!!??
						うお〜〜〜〜〜〜〜〜なんだこれ!!!??
						
						これまでボードは水平に置くものばかりだと思っていたので、なるほどこんなことしてもいいのかと関心した。
						さらにボードの最上部に円柱の木のコマを流し込み、最下部にはミニチュアの鉄製バスケットかごを配置。
							 仙人がたくさんあるツマミのひとつをくるくると回すと、ゴムベルトが、まさにベルトコンベアのようにスライドし、木のコマを上から下へコトコトと運びはじめたではないか!
						仙人がたくさんあるツマミのひとつをくるくると回すと、ゴムベルトが、まさにベルトコンベアのようにスライドし、木のコマを上から下へコトコトと運びはじめたではないか!
							 仙人「これはキャンディ工場の作業員になって、ベルトコンベアを操作しながら、目的の色のキャンディを自分のバスケットかごに入れることを目指すゲームだよ」
						仙人「これはキャンディ工場の作業員になって、ベルトコンベアを操作しながら、目的の色のキャンディを自分のバスケットかごに入れることを目指すゲームだよ」
						
						キャンディを手に入れるためにコンベアを回す大人たち!ファンシーである!!次に流れてくるであろう相手の色のキャンディと、それが落ちる位置を予測しながら絶妙な力加減とスピードでツマミを選び、回す。
						相手には不要なクラッカーを押し付けておいて、自分はちゃっかり目当てのキャンディを獲得できるような盤面運びがなかなか悩ましい...。
						ボードに描かれたイラストもいちいち可愛らしい。
							 これ大人同士でやるとかなりいじわるなゲームになるぞ!「俺のキャンディかえせ!」なんて子どもみたいなこと言いあいながら、これまた大盛りあがり。
						これ大人同士でやるとかなりいじわるなゲームになるぞ!「俺のキャンディかえせ!」なんて子どもみたいなこと言いあいながら、これまた大盛りあがり。
					
今日から君もボードゲーム収集家
						この日から、僕はこれまで「子どもくらいしか楽しめないに違いない」と遊ぶ前から決めつけていたゲームも遊ぶようになった。
						子どもでももちろん楽しめるような作りになってるけど、その多くは大人もちゃんと楽しめるようになってるものが結構あるんだなーってことに気がついたよ。
						これまでのようにじっくりと時間をかける考えどころのあるゲームだけじゃなくて、サクッと遊べて見た目も可愛らしいゲームも買い漁るようになっていったよ。
						もちろん専門店を回るだけだと販売されているそのほとんどは新作ばかりなので、ネットやカタログも見ながら旧作含めたゲームの情報を集めたよ。
						
						それらの中にはなかなか出回っていないレアなゲームも多いことに気づく。
						このゲームもう十何年前に作られたっきり出回ってないの!?
						こんなに可愛いのに!!?
						
						じゃあどうするか。
						
						頑張って探すしかないよね。
						
						そういったレアなゲームほど、当然周りのボードゲーム仲間も遊んだことないことが殆どだから、「こんな面白いゲームがあるんだぜぇ〜???」と、したり顔で取り出すことができるのだ。あのときの仙人のように。
					
もちろん自分には楽しめないゲームだってある
						今回紹介したゲームはどれも僕は超楽しめたゲームだったけど、ボードゲームは非常にたくさんの種類があるので、当然「せっかく必死こいて探して購入したのに、肝心のプレイ感が自分に合わない」なんてこともある。
						なんなら実際結構ある。
						でも、見た目が大好きなゲーム、さらにそれがなかなか所有している人がいないものであれば、それらは大した問題じゃないことに気づく。
						たまに棚から出して眺めてごらん。遊ばなくていい。
						心がポカポカしてきたんじゃない?
						そしたら君もこっち側の人間だね。						
					
そんなゲーム、どこで手に入れるの?
						「廃盤になってるならそもそも買えなくない?」いやいや、諦めるにはまだ早い。
						ネットオークションや、老舗のボードゲームショップやリサイクルショップのおもちゃコーナー、今では全国各地で行われているボードゲーム即売会の中古品販売エリアを覗いてみると、こういったレアなゲームたちが売られていることがよくあるんだ。
						中には超激安で売られていることも!中身を見せてもらって、その見た目にビビビッときたらもう買うしかない。
						こういったものは一期一会なので、悩んだ後で買おうと思ってたらすでに売れてしまって後悔なんてこともあるぞ!
						君がそのゲームを買って、紹介して、遊ばないと、一緒に遊ぶ友達はそのゲームの素晴らしさに気づかずに一生を過ごすかもしれないのだから。						
					
まとめ
						ボードゲームには色んな楽しみ方がある。
						みんなと手軽にサクッと遊ぶ、じっくり時間をかけてうんうん悩む、特定のゲームをとことんやりこんで研究する、人に紹介して楽しんでもらってドヤ顔する、遊ばずにただ並べたものを眺めてうっとりする、などなど。
						どれも違った面白さがあるので、ぜひみんなにも色んな角度からボードゲームを楽しんでもらえると嬉しいな。
						特に、今回挙げた「遊ぶだけのものとしてでなく、集めて、眺めて楽しめる人」が、この記事をみて1人でも増えてくれたらこれより嬉しいことはないよ。						
					
この記事を書いた人:ギボ
2019年入社。卸流通担当スタッフ。好きなゲームこそたくさんあるが、自分で考えたことにしてしまいたいゲームは「ドミニオン」。システムを知った際に度肝を抜かれてしまった。鳥類・爬虫類・両生類・魚類を飼い、自分という哺乳類を含めることで、全5種の脊椎動物を自宅にコンプリートする。記事冒頭に出てきた「そこらへんで捕まえたカマキリ」は、なんとすごろくや高円寺店付近にて捕獲。
